障がい者が働くために障がい者支援者に求められる大切なこと

      2017/03/25

D&Iの杉本代表

 

「障がい者就労支援セミナー」に参加して、株式会社D&Iの杉本代表のお話を聴いてきました。

“ 障がい者がどうやったら働けるか" をテーマに企業の就労の在り方について10年以上考えている方でした。

またビジネスモデルとしては、企業に障がいのある方を紹介して企業側から紹介料を頂戴する形ですが、児童デイサービスや障がいのある方へのビジネススクールなど大人から子どもまで多くの障がいのある方の就労サポートをされています。

そんな杉本代表のお話を聴いて学んだことをまとめていきたいと思います。

 

 

バリアフリーじゃないから...

 

以前にも記事で取り上げましたが、内閣府の世論調査の結果、発達障がいへの理解のある人は全体の3割程度しかいないという結果がでした。

杉本代表が企業へ障がい者雇用の提案をすると、決まって「うちはバリアフリーじゃないから...」と言われたそうです。

多くの人は、「障がい者=身体・聴覚・視覚」のイメージが強いようで、知的障がいの方は必ずしもバリアフリーを必要としていないということを知らないようです。

そもそも周りの人間が手を差し伸べることができればバリアフリーなど必要ないんですけどね。

なので、障がい者雇用を検討するにも障がいへの理解があまり得られていない社会においてはイメージが出来ないようです。

 

また杉本代表の話によると、『多くの企業が考える障がい者雇用の目的は、「法定雇用率」の存在によるもの。企業が雇用する対象の障がい者の理想像は10年前から同じ、「健常者に近い人」。』 だそうです。

要するに、企業の障がい者雇用に対する意識は形だけのものという認識に近いのかもしれません。

杉本代表はこの時、

「逆を返せば、企業は戦力になる人材を求めていて、生産性を生み出す人材なら就労できる。」と考えたそうです。

 

ではいったい、戦力になる人材とはどういったことなのでしょうか。

 

企業が求める障がい者とは

 

「定着してくれる人材」

企業が求めている雇用の対象となる障がい者は、「定着してくれる人材」に限るそうです。

要するに、すぐに辞めない人が欲しいということです。

 

障がいのある方を1人採用するには、本人の障がいについての理解やサポートのしていき方など個々に合った働き方について考えるのにとても多くの時間と労力がかかります。

そんな中、やっと採用した人が初日や1週間などで辞められてしまうと次の障がい者雇用に消極的になるのは無理もありません。

なので仕事のスキルよりも人柄や意識を重要視するようです。

少し難しそうな仕事でも、続けて行けば必ずスキルは上がります。しかし、人柄や意識を変えるのは時間やエネルギーがもっと必要になるのでその分、企業からすれば「生産性」を落としてしまうということです。

「就職は一瞬。就労は長い。」と言われる通り、就活よりも就労の方が大事なのでじっくり就活に時間をかけていくことが大切と言われています。その方が、「企業側も安心して採用できるし、障がいのある本人にとっても精神的不安が軽減する」と言われています。

 

また杉本代表は、「戦力」についてこのように話されていました。

『「戦力」とは給与分の価値があるかということ。それは直接自分で会社の利益を生み出すこともそうですが、元々かかっていたコストを下げることも会社にとっては利益になる。そして一緒に働く "同僚" の雑務と言われる仕事を手伝うことで、その方たちの生産性が上がれば障がい者自身にも価値が生まれてくる。』

 

要するに、例えば「営業で新規開拓する」だけが仕事ではなくて、その方たちに無駄な仕事をさせずに「営業」に集中できるような環境を用意することで営業実績が上がるならば、企業にとって充分に価値があるということです。

そう考えると「戦力」になる人材を育成するということを難しく考える必要がなく、壁が少し低くなったような気がします。

では次に、「障がい者施設で働く支援者に求められること」とはいったいなんでしょうか。

 

障がい者支援者に求められること

 

障がい者支援の福祉施設とその支援者に求められることは、「定着するサポートを続ける」ことです。

就労前から最低限のビジネスマナーや報告・連絡・相談をする習慣を身につけていくことは必須です。

そして就労後のサポートが早期離職を軽減する上で大切だと言われています。

しかし、このサポートの在り方が非常に難しいと杉本代表は言われます。

『例えば、「企業」と「障がい者」が雇用契約を結んだ時点で、「障がい者」ではなく「労働者」へと変わります。そうした場合、福祉施設で働く人の立ち位置が複雑になってきます。「生活」と「働くこと」はあまりにも密接しているので、支援者が入り込むことで企業側は、「本人が自立していないのではないか」と疑われることもある。』

 

企業側の立場で考えると福祉施設の方に会社の情報が漏えいしてしまうリスクもあります。

しかし、障がい者が仕事をしていく上での最初の基準をつくるのは企業側だけだとやはり難しいようです。

要するに、「企業」と「障がい者支援施設または支援者」との間で信頼関係が必要です。

その上でお互いの仕事を理解し合うことが大切になり、支援者側で言うと世の中にある多くの仕事(業界・業種・業務内容)などを幅広く知っておくことが必要です。それは、就労前の障がい者(児)と過ごす中で適正を見分ける判断材料にもなるので必須だと私は思います。選択肢は多いに越したことはないのです。

また信頼関係ができていると就労後のサポートもし易くなり、「企業」、「(障がい者)本人」、「障がい者施設」 全体にとってWin-Winになると考えられます。

 

最後に

 

今回お話を聴かせていた株式会社D&I様は、 障がいのある方の就職・転職サポートをしています。

ご興味のある企業または障がい者施設の方は、下記サイトをチェックすることをおすすめします。

障がいをお持ちの方の就職・転職サポート BABナビ

杉本代表の他にもこのサイトを運営されている社員やセミナーのサポートをされていた社員の方も皆さん良い雰囲気をお持ちの方でした。良かったらセミナーの方にも行ってみてはいかがでしょうか。

 

ありがとうございました。

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非常にはげみになります。

 


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