古事記の神々

      2015/02/15

高天原(天にある)に神々が生まれた。

 

造化三神

天之御中主神

「天の中心にいる天を治める神」

「片寄りのない中庸の正しい心を持つ神」

 

高御産巣日神・神産巣日神

「あらゆる生命を生み出し、すべての生き物の繁栄を願い見守る神」

 

地上はスライム状態。

その岸辺に生えた葦の芽が春に育つために次の神が生まれた。

 

五柱の神(上記三神も含む)

宇摩志阿斯訶備比古遅神

「葦の芽のように生命を育む神」

 

天之常立神

「天の基礎となって天を治める神」

 

神代七代

国之常立神

「地上の基礎となって地上を治める神」

 

豊雲野神

「植物を地上に雲のように広げる神」

 

宇比地邇神・須比智邇神(夫婦)

「田畑の土を作る神」

 

角杙神・活杙神(夫婦)

「土地造成のために打ち込まれる杭の神」

 

意富斗能地神・大斗乃弁神(夫婦)

「家屋の神」

 

於母陀流神・阿夜訶志古泥神(夫婦)

「美しい男女を作る神」

 

伊邪那岐命(神)

「女性に誘いかける神」

伊邪那美命(神)

「伊邪那岐命(神)の誘いに応え返す神」

 

伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)は、

天の浮橋(高天原と地上を繋ぐ梯子)に立ち、

雲の上から天の沼矛(勾玉のついた巨大な神聖なる矛)を地上に突き刺し、

スライム状態の地上を掻き回して持ち上げると、

地上の塩が「こおろこおろ」と音を立てた。

その矛からしたった塩は淤能碁呂島という島になり、

伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)はその島に降り立ち、

島の中心に天の御柱という神聖な柱を立てた。

これが日本の国土の始まりである。

のちに淤能碁呂島は塩で出来ていたため元の海に溶けてしまう。

 

そして、伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)は結婚をして夫婦になり、

水蛭子を生んだが父母の意に添わない子どもであったため、

その子を葦の茎を編んだ葦船にのせて海に流された。

次に淡島という子を生まれたが気に召さないようだった。

 

不吉なことが続いたので、

伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)は天の浮橋を昇り高天原に戻り、

天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神の三神に相談した。

すると「占い」で決めるように言われ、

鹿の肩の骨を火にかけ骨のひび割れの形で運勢を占った。

 

このときに「占い」で決めた理由は、

古代の日本人は、

「神様は万能ではなく、神様の知恵の及ばない自然の大きな力がある。」

と考えていたからである。

 

伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)は、

天の浮橋から再び淤能碁呂島に戻り、やり直された。

そして再び結婚をされ子ども(島)を生まれた。

その子が、淡道之穂之狭別島(今の淡路島)であり、

次に生まれたのが伊予之二名島(今の四国)といい、

体は一つで四つの顔をもつ子どもであった。

 

伊予国=愛比売

讃岐国=飯依比古

粟国=大宜都比売

土佐国=建依別

 

次に生まれたのが、隠伎之三子之島(天之忍許呂別)で、

その次に筑紫島を生み、この島も顔が四つあった。

 

筑紫国=白比別

豊国=豊日別

肥国=建日向日豊久士比泥別

熊襲国=建日別

 

そして次に生まれたのが、

伊岐島(天比登都柱)で次に津島(天之狭手依比売)、

その次に佐渡島、次に大倭豊秋津島(天御虚空豊秋津根別)、

この夫婦の神が八つの島を生んだことで日本は大八島国と呼ばれる。

 

帰り際に更に島を生まれ、その島が、

吉備の児島(建日方別)、小豆島(大野手比売)、

大島(大多麻流別)、女島(天一根)、知訶島(天之忍男)、

両児島(天両屋)である。

 

伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)は国生みの完了を記念して、

次々に神を生んでいった。

 

十神(伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)が生んだ)

大事忍男神

「大八島のの個々の島の守り神のまとめ役の神」

 

石土毗古神

「土石の神」

 

石巣比売神

「石や砂の神」

 

大戸日別神

「住居の出入り口の神」

 

天之吹男神

「天井を葺く神」

 

大屋毗古神

「家屋を守る神」

 

風木津別之忍男神

「風の神」

 

大綿津見神

「海の神」

 

速秋津日子神・速秋津比売神(夫婦)

「水戸(河口)の神」(河と海を分ける役目の神)

 

速秋津日子神・速秋津比売神が水面の神を生んだ。

 

八神(速秋津日子神・速秋津比売神が生んだ)

  • 沫那芸神
  • 沫那美神
  • 頬那芸神
  • 頬那美神
  • 天之水分神
  • 国之水分神
  • 天之久比奢母智神
  • 国之久比奢母智神

 

四神(伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)が生んだ)

志那津比古神

「風の神」

 

久々能智神

「木の神」

 

大山津見神

「山の神」

 

鹿屋野比売神(野椎神)

「野の神」

 

八神(大山津見神と鹿屋野比売神(野椎神)が生んだ)

天之狭土神・国之狭土神

「地面の神」

 

天之狭霧神(天狭霧神)・国之狭霧神

「霧の神」

 

天之闇戸神・国之闇戸神

「谷間の神」

 

大戸惑子神・大戸惑女神

「窪地の神」

 

次に伊邪那美命(神)と伊邪那岐命(神)が生んだ神

鳥之石楠船神(天鳥船神)

「天地の間を行き来する神」

 

大宜都比売神

「食物の神」

 

火之夜芸速男神(迦具土神)

別名:火之炫毗神または火之迦具土神

「火の神」

 

火之夜芸速男神(迦具土神)が伊邪那美命(神)の

下腹を焼いて生まれた神<十神>

伊邪那美命(神)の嘔吐から生まれた神。

金山毗古神・金山毗売神

「鉱山の神」

 

伊邪那美命(神)の大便から生まれた神。

波邇夜須毗古神・波邇夜須毗売神

「土器の材料の粘土の神」

 

伊邪那美命(神)の尿から生まれた神。

弥都波能売神

「田畑に引く水の神」

 

和久産巣日神

「作物を育てる神」

 

和久産巣日神の子神。

豊宇気毗売神(登由宇気神)

「食物の神」

 

なぜ自然の石や土、水などまで見守る神ができたかというと、

古代の日本人は、

「人間は多くの神々に見守られ、自分たちの身のまわりの自然に生かされている」

という精霊崇拝の考えをもっていたからである。

 

伊邪那岐命(神)は伊邪那美命(神)を亡くして悲しんだ。

この時に伊邪那岐命(神)の涙から神が生まれた。

 

泣沢女神

「水の神」

 

伊邪那岐命(神)は伊邪那美命(神)の葬式を終えると、

災いのもととなった火の神の火之夜芸速男神(迦具土神)を

腰に下げた十拳剣で首を切り落とした。

 

六柱の神「雷の神」

三神(刃先についた血が岩石に飛び散って生まれた神)

  • 岩析神
  • 根析神
  • 石筒之男神

三神(剣の刃の根本についた血が岩石に飛び散って生まれた神)

  • 甕速日神
  • 樋速日神
  • 建御雷神(建御雷之男神)

別名:建布都神または豊布都神

 

二柱の神「水の神」

二神(剣の柄の血が指の俣から漏れ出て生まれた神)

  • 闇淤加美神
  • 闇御津羽神

 

八神(殺された火之夜芸速男神(迦具土神)の体から生まれた神)

  • 頭:正鹿山津見神
  • 胸:淤縢山津見神
  • 腹:奥山津見神
  • 下腹:闇山津見神
  • 左手:志芸山津見神
  • 右手:羽山津見神
  • 左足:原山津見神
  • 右足:戸山津見神

 

伊邪那岐命(神)は伊邪那美命(神)を生き返らすためにタブーをおかし、

黄泉の国へ行った。

しかし伊邪那美命(神)はすでに黄泉戸喫を食べ、黄泉の住人になっていた。

変わり果てた伊邪那美命(神)の体はどろどろに腐り、うじが湧いていた。

 

八神(伊邪那美命(神)の腐った体から生まれた神)

「雷の神」

  • 頭:大雷
  • 胸:火雷
  • 腹:黒雷
  • 下腹:析雷
  • 左手:若雷
  • 右手:土雷
  • 左足:鳴雷
  • 右足:伏雷

 

その変わり果てた姿で、

黄泉の国の悪神になっている伊邪那美命(神)をみた伊邪那岐命(神)は、

一目散に逃げ出した。伊邪那美命(神)は豹変して黄津醜女という悪鬼を集め、

伊邪那岐命(神)を追いかけた。

伊邪那岐命(神)は山葡萄や筍、青い桃の実などを投げつけ、

最後に大きな岩で道を塞ぎ、なんとか逃げ切った。

 

ここで伊邪那岐命(神)は桃の実に感謝し、

意富加牟豆美命(大神祇命)という「強い霊力を持つ神」という名を授けた。

 

伊邪那美命(神)は最後に、

「あなたのことはもう夫とは思いません。この仕返しに一日千人ずつ絞め殺してみせましょう。」

と睨みながら叫ばれた。

それを聞いた伊邪那岐命(神)は、

黄泉の大神よ。お前がそんなに残酷なことをするのなら、

私は日本の人々に一日に千五百の産屋を建てさせて、毎日千五百人の子どもを産ませましょう。」

と言われ、この誓いに基づき日本の人々は賑わいをみせている。

 

 

黄泉の国へ行き、

汚れた体を気にした伊邪那岐命(神)は、

海の水に浸かり体を洗うことにした。

 

十二神(伊邪那岐命(神)の身につけていた物から生まれた神)

「旅人を守り災厄を退ける道祖神」

  • 御杖:衝立船戸神
  • 帯:道之長乳歯神
  • 御嚢:時量師神
  • 御衣:和豆良比能宇斯能神
  • 御褌:道俣神
  • 御冠:飽咋之宇斯能神
  • 左の腕輪:奥疎神・奥津那芸佐毗古神・奥津甲斐弁羅神
  • 右の腕輪:辺疎神・辺津那芸佐毗古神・辺津甲斐弁羅神

 

二神(伊邪那岐命(神)の身の汚れから生まれた神)

  • 八十禍津日神
  • 大禍津日神

 

三神(伊邪那岐命(神)の禍を直そうとして生まれた神)

  • 神直毗神
  • 大直毗神
  • 伊豆能売

 

二神(伊邪那岐命(神)が水の底でお濯ぎ生まれた神)

  • 底津綿津見神
  • 底筒之男命

 

二神(伊邪那岐命(神)が水の中ほどでお濯ぎ生まれた神)

  • 中津綿津見神
  • 中筒之男命

二神(伊邪那岐命(神)が水面でお濯ぎ生まれた神)

  • 上津綿津見神
  • 上筒之男命

 

伊邪那岐命(神)は何度も海水に潜って身を清められた。

その後に浅瀬で丁寧に顔を洗われた。

 

三貴子(伊邪那岐命(神)が顔を洗って生まれた神)

  • 左目:天照大御神
  • 右目:月読命
  • 鼻:須佐之男命(建速須佐之男命)

 

伊邪那岐命(神)は最後に最も意に叶った三貴子を得たと喜び、

天照大御神には、

「天に昇って高天原の神々を率いて人々を見守りなさい」と命じ、

月読命には、

「天に昇って夜の世界、夜之食国を支配しなさい」と命じ、

須佐之男命には、

「海原を治めなさい」と命じた。


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